■地震列島に原発はいらない 六ヶ所村 生活や環境を放射能で汚すな
2008年3月10日号 / 女のしんぶん 第961号
青森県反核実行委員会事務局次長 井上 浩

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イタリア一国分以上の消費電力量を支える巨大企業・東京電力が一月三十日に説明した「事業運営に関する業績見通し」では、07年度に東電は数十年ぶりの赤字決算となります。
連結で1550億円の赤字の原因は、@「新潟県中越沖地震に伴う柏崎刈羽原発停止により復旧費用等1615億円」を災害特別損失に計上すること、A「原油価格の上昇などにより、燃料費や購入電力料が大幅に増加」というものです。
二つの赤字の理由が挙げられていますが、地震で稼働率が半分以下となった原発によることは明白です。当地に原発が立地されていなければ地震という天災の被害はこのような形ではありえなかったのですから。
その東京電力は、青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場北側約20数qの東通村内で、原発の新規立地を計画しています。
現在国の安全審査中の東通原発1号機ですが、2月15日に当原発と再処理工場との中間地点の横浜町で活断層の疑いがある「横浜断層」が見つかったとして、追加調査を発表しました。
明らかに中越沖地震での損失を意識した対応です。そこで問題となるのが、「それでは六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場はどうなのか」ということです。
新潟県と同様、青森県も火山地帯であり、とりわけ下北半島周辺には断層が集中し、地震の巣といっても過言ではありません。
そもそも世界的に見れば地震の巣である日本列島で、原子力発電と核燃料サイクルにより国民に電気を供給しようということ自体が無理だったことを、新潟県中越沖地震は示していると思います。
5月にも商業運転を強行しようとする東京電力をはじめとした電力業界の子会社日本原燃鰍ノよる六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場立地は、このような環境の中で進められています。
しかも、全国から200万人を超える立地反対署名を踏みにじって、建設を強行している再処理工場では、既に試験と称してプルトニウム3283sを生産したばかりか、昨年4月に使用済み核燃料のせん断により放出された希ガスのクリプトン85は、4.3×1015ベクレルです。トリチウムの放出量も毎月増えつづけ、昨年8月には7.3×1010ベクレルです。 液体のトリチウム放出量も同月で1.9×1012ベクレルとなりました。
一昨年より六ヶ所村内のモニタリングステーションでは空気中の気体状β線放射能濃度の上昇が確認され、空間放射線量率(γ線)の測定値の六ヶ所村内での上昇が確認されています。
またプルトニウムの太平洋への放流により、海藻類から1キログラム当たり0.01ベクレルのプルトニウム濃度の検出が06年度第三・四半期に報告されました。しかも、プルトニウムが検出されていたにもかかわらず、担当者のミスということで一昨年のデータが昨年6月12日にようやく明らかとされました。
再処理工場では試験といっても、日常的に大量の放射能を放出するばかりか、臨界事故や爆発事故などの危険性が常に付きまとっています。日本原燃鰍ノ環境を放射能で汚染する権利はありませんし、私たちは誰もそれを許していません。六ヶ所村の住民が、事故の危険性に慄きながら生活するように強いることは、誰にも許されません。
社民党と平和労組会議そしてI女性会議他多くの団体で組織される私たち青森県反核実行委員会では、六ヶ所再処理工場計画の撤回を求め、闘いつづけます。 |
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■六ヶ所再処理をめぐる状況と運動の課題
2008年2月号 / 月刊 社会民主 633
社会民主党青森県連合副幹事長 井上 浩
以下は日本原燃HP
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干支を二廻りさかのぼった1984年、子年の正月。青森県民は、マスコミによる六ヶ所村のむつ小川原開発区域への核燃サイクル施設立地報道に、「やはり」と思いながらも衝撃を受けた。というのは前年師走の総選挙で青森県入りした中曾根康弘首相(当時)が、「下北を原子力のメッカにする」と、かねてからの持論を強調していたことが記憶に新しかったのである。
翌年の1985年4月9日に開かれた青森県議会全員協議会で、北村正哉青森県知事(当時)は前年4月20日に電気事業連合会から立地要請を受けていた核燃サイクル3点セットの受入れを正式に表明した。
当時の青森県労会議と社会党県本部を中軸とする「原船・原発反対青森県共闘会議」は、核燃サイクル立地反対運動のため「青森県反核実行委員会」に再編され、その反核実行委員会を中心として「核燃サイクル施設の受入れは県民投票で決めよ」との直接請求署名運動(9万3600人の署名集約・「核燃料サイクル施設建設立地に関する県民投票条例案」は1985年5月28日開催の青森県議会第74回臨時会で少数否決)さなかの、暴挙であった。
当時を振り返ると、今日まで変わらない核燃施設と青森県を巡る論点が既に、1984年3月16日開催の県議会第157回定例会の総括質疑で、社会党県議と知事との間の論戦で明らかとなっているので、以下、議事録から抜粋する。
〇38番(鳥谷部孝志君)
国策によって過去本県がどれだけみじめな悲哀を経験してきたのか。現に破綻をしているむつ小川原開発や、いま新たに提起されている核サイクル基地にしても、他県では受け入れられないもの、過疎県でなければ立地できないものを、国策だ、地域開発につながるとして行政を進めてきた、また進めようとする中央追随、従属の姿勢にこそ、いつまでたっても後進県から脱却できない最大の原因があると私は思うのであります。
〇知事(北村正哉君)
私は機会あるごとに国に向けて、自助努力だけでは青森県は行けません、自助努力も心がけますが、政府の均衡ある国土開発論によって政府の援助を求めなければ、青森県の自助努力を中心にして青森県を開発するということはできません、よって援助してください、こういう申し上げ方をしてきているわけでありまして、たとえば、首都圏と近畿圏とかいった地域の事情と私ども青森県の事情は多分に違うところだろうと考えておりますし、将来の青森県政を進める場合に、お話に反駁しているのではありません、自助努力も必要ではありましょうが、絶対に必要とするのは政府の援助、こういう考え方を私は持ってるわけであります。
あれから24年。変わることなく青森県政が求めつづけた"政府による国策"で、原子力半島に生まれ変わった下北半島は、今年、大きな節目の年を迎えようとしている。
六ヶ所核燃サイクルの中心施設となる使用済み核燃料再処理工場が2月の竣工を予定し、既に同工場では、使用済み核燃料を約2365dU(ウラン)・1万0262体受入れ、試運転と称しながら約265dU・788体再処理し、ウラン製品を約210トンU、プルトニウム製品も約3283s生産している (いずれも07年11月末現在) 。
高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターでは、フランスへの再処理委託で発生し、返還される高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の全てである1310本が既に搬入され、一時貯蔵の名目で、受入れから30年〜50年間を目途に貯蔵管理されている。
また今年からは同様にイギリス分(850本〜1000本)を受け入れることとなる。
なお、日本原燃鰍ヘアクティブ試験(試運転)の一環で、昨年11月5日からガラス固化体の製造を始めた。今年予定する正式操業後は、年間1000本、40年間稼働で、約4万本の貯蔵管理が新たに始まる。
低レベル放射性廃棄物埋設センターには、一号埋設(均一固化体)、二号埋設(充填固化体)あわせて200gドラム缶19万8747本(07年11月末現在)が埋設された。
ウラン濃縮工場では、1050dSWU(分離作業量)/年の操業規模ながら、運転中は300dSWU/年で、製品ウランの出荷量は約1505dUF6(六フッ化ウラン)となっている(07年10十月末現在)。現行機が故障続きのため日本原燃では、今年から新型の遠心分離機の組み立て・製造に取り組むとしている。
この他にも、日本原燃では再処理工場から取り出したプルトニウムを原発で燃やすためのMОX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料を製造する六ヶ所MОX燃料加工工場を今年にも着工する。そのための核燃料加工作業工程をつなぐウランの転換工場と再転換工場の六ヶ所建設も取りざたされ始めた。
また原発敷地から溢れ出す使用済み核燃料の受入れ施設として、新たにむつ市に東京電力他がリサイクル燃料貯蔵鰍設立し、2010年からの操業が計画されている。
本来の核燃サイクルであった高速増殖炉でのプルトニウム増産の道をもんじゅの事故で閉ざされながらも、MОX燃料による「プルサーマル」計画を、核燃サイクルとしてきた国策が、今完結しようとしている。
そこで新たに浮上してきたのが、"禁句"とされてきた高レベル放射性廃棄物最終処分場の県内立地の動きだ。
2002年から始まった処分地の選定は、国と事業者の原子力発電環境整備機構(NUMО)による自治体からの公募が取り組まれたが、住民の猛反発で選定が進まないことから、現在は自治体に直接調査を申し入れることに方針転換した。
同機構によると、地上施設は敷地面積約1平方キロメートルだが、地下300bより深い場所に約220q(沿岸部)、又は270q(内陸部)のトンネルを約50年かけて掘りながらガラス固化体約4万本を埋めて、トンネルの埋め戻しを並行して行うという。地上の工場でガラス固化体をオーバーパックという金属製容器に封入してから埋設し、埋め戻しには粘土(ベントナイト)で締め固めるという。
「国の試算では、技術開発、調査、用地取得、設計・建設、操業、解体・閉鎖などを含めると約3兆円にも上る。想定される経済波及効果は@立地市町村を含む都道府県での地元発注額は約7400億円(年間約123億円)A生産誘発効果は約1兆6500億円(年間約275億円)B立地市町村の固定資産税収入は約1600億円(年間約27億円)」(2007年1月4日付東奥日報)のため、六ヶ所村に隣接する東通村で誘致の機運が広がり始めた。
しかしフランスからの高レベル廃棄物返還を間近にした1994年11月16日、青森県は北村正哉知事名で科学技術庁の田中眞紀子長官に「本県において高レベル放射性廃棄物の最終処分が行われないことを明確にすること」を要請した。「30年から50年の貯蔵は最終処分地化に道を開く」との県民の懸念に対処したものだった。
村山富市内閣の田中長官は、同月19日、北村知事に対して「このような状況においては、青森県が高レベル放射性廃棄物の処分地に選定されることはありません」と文書で回答した。
この方針は歴代の青森県知事に引き継がれ、昨年12月6日にも三村申吾知事は甘利明経済産業相と面会して政府の意向を確認したとされる。
ところが、当時の与党であった社会党科学技術部会長・今村修衆議院議員は、この回答書について質問主意書を村山総理に提出し、1995年1月31日に答弁書を受けた上で、次の点が明らかとなったとした。
@青森県知事に対する回答書は、確約書でも、保証書でもなく、科学技術庁の見解を述べたものであること。
A最終処分場については、電気事業者、科学技術庁とも「青森県の意向が十分踏まえられるよう努める。」としており、あくまでも努力を約束したにすぎないもので、将来に不安が残されていること。(以下略)
その後、北村知事を破って青森県知事となった木村守男知事は1995年4月25日、フランスからの高レベル廃棄物輸送船パシフィック・ピンテール号のむつ小川原港着岸を一時拒否し、田中眞紀子科技庁長官から同日付けで「知事の了承なくして青森県を最終処分地にできないし、しないことを確約します」との文書を得た。
しかし、その性格は今村修衆議院議員が指摘した内容を超えるものではなかった。国が国策として、青森県に最終処分地の立地を要請し、知事が同意すれば、最終処分場が立地されるのである。
六ヶ所再処理を巡るこうした状況を踏まえ、青森県反核実行委員会(渡辺英彦・社民党青森県連合代表)他は1月中旬に、原水禁国民会議、原子力資料情報室他と今後の運動課題について打ち合わせた。
原水禁国民会議では、1月25日開催の第4回常任執行委員会で「六ヶ所再処理工場の本格稼働阻止の取り組みについて」意識統一される予定だ。
現在協議されているのは(1月7日時点)、「再処理を含めたプルトニウム利用路線の破綻を明らかにし、再処理NОの声を国内外に伝える」ため、以下の日程で、次の行動に取り組もうというもの。
@3月下旬に東京の日比谷野外音楽堂で全国集会を開き、脱原発団体や個人、生協、生産者など、できるだけ様々な階層や運動団体からの最大結集を目指す。Aその前段に国際シンポジウムを開き、韓国等から国際ゲストを交えて、再処理路線の破綻と問題点を指摘する。Bその間には、東京で経済産業省や電事連、青森県で県や六ヶ所村、日本原燃に申入れと交渉を行う。C全国集会へ向けて青森〜岩手〜宮城〜福島〜茨城〜東京と全国キャラバンを行う。D青森、東京を中心として稼働1週間前から座り込みと抗議行動を集中する。E著名人の反対の声を再度集め、記者会見、集会を行う。F1月〜3月にかけて毎月1回行動日を決めて全国的なビラまきを行い、情報をホームページで流す。G政府・事業者へ全国からの打電行動を集中する。H国際連帯行動として韓国や台湾などから日本大使館への国際抗議行動を行う。I6月7日〜8日に青森県で開催が予定されているエネルギーサミットに対抗したシンポジウムを企画する。
さて、最後に六ヶ所村の状態だが、昨年4月に使用済み核燃料のせん断により放出された希ガスのクリプトン85は、4.3×1015ベクレル。トリチウムの放出量も毎月増えつづけ、昨年八月には7.3×1010ベクレルとなった。液体のトリチウム放出量も同月で1.9×1012ベクレル。
一昨年より六ヶ所村内のモニタリングステーションでは空気中の気体状β線放射能濃度の上昇が確認され、空間放射線量率(γ線)の測定値の六ヶ所村内での上昇が確認されている。
またプルトニウムの太平洋への放流により、海藻類から1キログラム当たり0.01ベクレルのプルトニウム濃度の検出が06年度第三・四半期に報告されている。しかも、プルトニウムが検出されていたにもかかわらず、担当者のミスということで一昨年のデータが昨年6月12日にようやく明らかとされた。
アクティブ試験は危険な実験操業である。日常的に大量の放射能の放出が始まったばかりか、臨界事故や爆発事故などの危険性が伴う。日本原燃鰍ノ環境を放射能で汚染する権利はありませんし、私たちは誰もそれを許していません。六ヶ所村の住民が、事故の危険性に慄きながら生活するように強いることは、誰にも許されません。2003年からの「六ヶ所再処理工場稼働中止を求める署名」で示された 162万0470筆の民意を力として「再処理施設におけるアクティブ試験」即時中止と、六ヶ所再処理工場計画の撤回を求め、闘いつづける。 |
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■原子力安全委員会 「日本原燃株式会社再処理事業所における核燃料物質の加工の事業に係る公開ヒアリング」
平成19年9月6日 / 青森県上北郡六ヶ所村スワニー
以下は日本原燃HP
 
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原子力安全委員会は、日本原燃株式会社再処理事業所における核燃料物質の加工の事業に係る公開ヒアリングを平成19年9月6日青森県上北郡六ヶ所村において開催した。本公開ヒアリングは、当該事業の許可申請に関し経済産業大臣の行った安全審査について原子力安全委員会が調査審議するに当たり、当該事業の固有の安全性について地元住民の意見及び質問(以下「意見等」という。)を聴取し、これを参酌することを目的として行われた。本状況報告は、公開ヒアリングに際して陳述された意見等及び陳述の届出があった意見等と、公開ヒアリングにおいて陳述された意見等に対する経済産業省の見解並びに経済産業省による当該事業に関する安全審査の概要の説明を取りまとめたものである。
〈 陳述人 井上 浩 〉
井上浩と申します。私は先ほどの原子力安全・保安院の説明を聞きましても、起こるはずのない事象が同時に2つ以上起こらなければというようなご認識で、やはり起こらないことを前提として安全性を考えていらっしゃるということを改めて痛感をいたしました。ところが残念ながら、現在、日本各地で起きております事象は、考えられないことが次から次へ起きているのが事実でございます。私は、意見陳述の申し込みの要旨におきましても、固有の安全性といいますよりかは、私たちが社会的に安全性を共有できるそういうものがどういうものかということで要旨を述べておりますので,意見を陳述していきたいと思います。
私の住んでいる五所川原市と六ヶ所の工場とを直線で結びますと、約75kmです。といいましても、この距離の中には青森県のほとんどの地域は入ってしまいます。外れるのは、わずか私の住む近くの西津軽郡、北津軽郡、そして弘前といった地域になります。それだけに、大量のプルトニウムを扱うMOX工場が、やはり同様に大量のプルトニウムを取り扱う再処理工場に隣接してつくられようとしていること、このことに一番、大地震による火災爆発事故、臨界事故の恐怖、一たん事故が起きた際、五所川原市が今、目指そうとしています安全で安心な新鮮な農産物が、飛散してきた大量の放射性物質に汚染されるという、こうした悪夢から逃れられないのでございます。
そうした中、青森県の「MOX燃料加工施設に係る安全性チェック・検討会」は、2002年4月に当時の木村守男知事へ検討結果を報告いたしましたが、日本原燃による常識では考えられないような使用済燃料受け入れ貯蔵施設のプール水の漏えいや東京電力による実はそのときばかりじゃなかった重大なトラブル隠し・不正問題、こうしたことで青森県の「MOX燃料加工施設に係る安全性チェック・検討会」は、その後2年9カ月にわたり中断をしたわけです。この東電の不正問題では、当時の社長、会長がお辞めになり、徹底的に社内調査をして問題を隠さない企業風土をつくると、また不正はなかったと国に報告をし国民に約束したにもかかわらず、現在の事象が起きています。
その約束を信じて県の検討会は知事の下で再開され、その後3カ月後に基本協定が締結されたわけです。従って、今から思いますと、県はこの東京電力の不正は他になかったとの真っ赤なうそに基づいて決定をしたということになります。東京電力は2002年まで四半世紀にわたり、福島、新潟にある17基の原子力発電所のうち13基で199回も不正を行っている。その不正は余りにも多いため、ここで詳細を述べる気もいたしません。
青森県の「MOX燃料加工工場立地基本協定」そのものが、東京電力の約束違反に基づいた、誤った認識で締結されたということを、まず指摘しておかなければいけないと思います。
そもそも、電気事業連合会の要請を受けた日本原燃が、この工場の協力要請を行ってからわずか4年で、三村知事は協定締結に走りました。その記者会見で知事は、MOX燃料工場は核燃料サイクル事業にとって不可欠、安全確保を第一に地域振興に寄与することを大前提に立地協力要請を受諾と胸を張りましたが、安全確保とは一体何のことなのでしょうか。
今年になって明らかになりました、全国に12ある全電力会社の調査では、核分裂反応が連続する臨界事故が起きた、制御棒が原子炉から抜けた、原子炉が緊急停止した、そんな原子力発電所の安全の根幹にかかわる事故トラブルが100件近くも起きながら、隠し続け、私たち国民の一人一人をあざむき続けてきた電力会社が事業者であるということを、改めて確認する必要があると思います。
それだけではありません。それを見逃し続けてきた国及びその国へ追随してきた青森県も、もはやこれまでどおりの姿勢では国民の信を得るとは考えられないのであります。
そもそも、MOX燃料加工工場立地協力要請は、青森県及び六ヶ所村と1985年に締結した「核燃料サイクル立地基本協定」にはないものです。この協定では、ウラン濃縮、低レベル放射性廃棄物埋設、使用済核燃料再処理工場等のいわゆる核燃サイクル3点セットが対象とされましたが、その後協定の範囲内の事業としては、海外返還高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体の中間貯蔵、全国からの使用済核燃料搬入といった核のごみの受け入れが先行したものの、同協定にはない新たな施設であったはずです。にもかかわらず、三村知事は「六ヶ所再処理工場と一体的な施設であるMOX燃料工場は核燃料サイクル事業にとって不可欠」、これは事業者の言葉ではなく、知事が記者会見でお述べになった言葉です。こうした姿勢はとても県民のための知事とは思えないというのは、私だけでしょうか。悲しいことであります。
そもそも、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」のナトリウム火災事故以降、国は「核燃サイクルはプルサーマル」とするごまかしを強弁しています。どこの自治体でも安全性等への不信から、プルトニウム燃料装荷に至らないのは当然ではないでしょうか。六ヶ所再処理工場に続く第二再処理工場建設の目途は全くないにもかかわらず、国はつじつまを合わせるために本年4月25日に第二再処理工場に係る2010 年ごろからの検討に向けた準備の開始について発表しましたが、納得できるものではありません。
使用済核燃料全量再処理路線が確立されないままに、プルサーマル計画を推進し続けることは、ひいては青森県を核のごみ捨て場とするものであり、高レベル放射性廃棄物最終処分場の県内立地に道を開くという懸念から逃れられないわけです。
ウランに比べてはるかに毒性が強く、臨界事故の危険性が高いプルトニウムを扱うため、施設内の閉じ込め能力やとりわけ耐震性について極めて慎重な検討が必要なMOX燃料加工工場の立地に、心から反対いたします。
そして、耐震性の問題におきましては、天が警鐘を与えたのが、7月の新潟県中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原子力発電所の震災ではなかったでしょうか。
昨年9月の原子力安全・保安院による新耐震指針による耐震安全性評価の指示は、おそまきながらも、地震国日本に原子力発電所を立地し続けてきた誤りを根底から改めていくための糸口になるのではないかという気がします。その新指針に基づき、MOX燃料工場の事業許可申請の補正は行われましたし、再処理工場におきましても耐震安全性評価の見直しが現在行われています。その最中の、現在の耐震想定の2倍を超える中越沖地震の発生を天の声とするならば、今後の日本の原子力発電所耐震規制を根本から変えなければならない、そのように考えるわけでございます。
そうしますと、先ほどの原子力安全・保安院のご説明にもありましたが、「日本原燃再処理事業所における核燃料物質の加工の事業の許可申請に係る安全性について」の審査書の中で、MOX工場の真下といいますか、再処理工場の真下といいますか、そこに走っております、審査書では53ページから54ページ記載のf−1断層及びf−2断層の評価について思いを起こすのでございます。この断層の存在は、事業者からではなく、1988年の夏に、当時の日本原燃サービスと科学技術庁とのやりとりのメモの発覚により県民に明らかとなったものでございます。
その経緯についてご承知をしながら、f−1断層及びf−2断層についての評価をされているのかをお知らせ願いたいと思います。とりわけそのメモの中では、f−2断層については、活動性を否定する上で説明しやすくなるとの観点で1本の断層として取り扱う等と、県民から見ては信じられないようなやりとりがあったと承知をしております。
審査の中では、こうしたことについてもどのように評価をされてきたのかをお知らせ願いたいと思います。以上でございます。
〈 原子力安全委員会委員長 鈴木 篤之 〉
ありがとうございました。原子力安全に関する最近の色々なことを見ても、信頼が置けないというような大変厳しいご意見をいただきました。また、具体的に断層の評価等々はどうなっているのかというようなご指摘もございました。
それでは、原子力安全・保安院の方から、見解等をお願いしたいと思います。
ご意見の中には、いわゆる固有の安全性以外のご意見も含まれていると思いますが、事前にお届けがあった点等については、答えられる範囲で答えていただくようお願いします。よろしくお願いします。
〈 核燃料サイクル規制課長 石井 康彦 〉
それでは、お答えさせていただきます。ご質問がございましたうち、青森県と事業者が締結した立地への協力に係る協定に関するご意見についてのご回答でございます。(図−84)
図−84 MOX燃料加工施設の立地協定締結に至る主要経緯
平成13年8月 日本原燃鰍ェ青森県及び六ヶ所村に立地協力要請
平成13年9月 青森県が「MOX燃料加工施設に係る安全性チェック・検討会」を設置
平成14年4月 上記チェック・検討会が、施設の安全確保の基本的考え方は妥当とする報告
書を知事に提出
平成16年12月 青森県が立地に係る検討再開を表明
平成17年2月 安全性チェック検討会が、知事に「施設の安全性確保は可能」とする最終報
告書を提出
平成17年4月 青森県、六ヶ所村及び日本原燃鰍ヘ「MOX燃料加工施設の立地への協力に関
する基本協定書」を締結
この件につきましては、施設固有の安全性にかかわるものではございませんし、また、ご意見にもございましたように、基本協定は青森県と事業者が結んでいるものでございますので、国としては直接ご回答すべき立場にはございませんが、私どもの方の認識について少しご説明させていただきますと、平成13年8月に日本原燃から青森県に対してMOX燃料加工施設に係る立地協力要請がなされたことを受けて、青森県は専門家による安全性のチェック検討を行い、MOX燃料加工施設の安全確保の基本的な考え方は専門的知見、国内外の経験等に照らして妥当である旨の結論を、平成14年4月に青森県知事に報告を行ったというふうに聞いてございます。その後、平成17年2月に、平成14年4月に出された同施設の安全性確保の考え方が妥当であるとの結論を変更する必要がないという報告がなされたものというふうに聞いてございます。
こういった過程において、青森県知事、六ヶ所村長は慎重に検討を進められ、総合的な判断により立地要請を受け入れ、協定書が締結されたというふうに私どもは理解してございます。
また、次のご意見でございますが、プルサーマル計画が進んでいないということについてのご説明でございます。このご意見についても、本来、原子力安全・保安院の方でお答えすべきものではございませんが、現状と資源エネルギー庁の考えを紹介させていただきます。(図−85)
図−85 プルサーマル計画について
○プルサーマルの実施により約1〜2割のウラン資源節約効果が得られ、供給の安定性に優れるという原子力発電の特性を一層改
善することが見込まれる。
○電気事業者は、2010年度までに合計16〜18基での導入を目指しており、九州電力、四国電力、中部電力などにおいて、その実現
に向けた着実な動きが見られる。
○国においても、地元におけるシンポジウムの開催等、住民の理解と協力を得るための取組を精力的に実施。
プルサーマル計画について
| 中部電力兜l岡4号機 |
電源開発椛蜉ヤ(建設準備中) |
四国電力活ノ方3号機 |
| 九州電力褐コ海3号機 |
関西電力椛蜚ム(1〜2基) |
日本原子力発電鞄ヨ賀(1基) |
| 北海道電力株早i1基) |
東北電力鰹乱(1基) |
日本原子力発電鞄穴C第二 |
| 北陸電力且u賀(1基) |
関西電力轄ul3、4号機 |
中国電力鞄根2号機
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〜電気事業者のプルサーマル計画〜
※東京電力は、立地地域の信頼回復に努めることを基本に、保有する原子力発電所の3〜4基で実施の意向。
プルサーマルについては、九州電力玄海発電所3号機、四国電力伊方発電所3号機では実施について地元の事前了解が得られ、現在、具体的な実施準備に入っているということでございます。
また、さらに中部電力浜岡発電所4号機については、国の安全審査が終了し、今後実施について地元の事前了解を得るための段階に入るというふうに考えられているところでございます。
また、電源開発、中国電力でも国の安全審査中である等、プルサーマル実施に向けた具体的な動きが見られているということでございます。
資源エネルギー庁では、プルサーマルの必要性、安全性について、国民の理解と協力を得るための様々な取り組みを行い、電気事業連合会が公表したプルサーマル計画が計画どおり実現できるよう取り組んでいくというふうにしているということでございます。
続きまして、第二再処理等、全量再処理路線の確立がないまま、プルサーマル計画を推進し続けることが高レベル放射性廃棄物の最終処分場の県内立地に道を開くことになるのではないかというご意見についてでございます。本来、原子力安全・保安院がお答えすべきものではございませんが、使用済燃料の再処理の方策と高レベル放射性廃棄物最終処分場の確立に向けた取り組み状況について、ご説明させていただきます。
平成17年10月に原子力委員会が取りまとめた原子力政策大綱等では、使用済燃料は、当面は再処理能力の範囲で再処理を行うこととし、これを超えて発生するものは中間貯蔵することとされております。中間貯蔵された使用済燃料やプルサーマルに伴って発生する使用済MOX燃料の処理の方策につきましては、六ヶ所再処理工場の運転実績や、高速増殖炉及び再処理技術に関する研究開発の進捗状況、核不拡散をめぐる国際的な動向等を踏まえ、2010年ごろから検討を開始することとされております。
検討に際しては、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用するという原子力政策大綱の基本方針を踏まえ、柔軟に配慮して進めるとされているところでございます。(図−86)
図−86 使用済みMOX燃料の処理方針
プルサーマルに伴って発生する軽水炉使用済MOX燃料の処理の方策は、六ヶ所再処理工場の運転実績、高速増殖炉及び再
処理技術に関する研究開発の進捗状況、核不拡散を巡る国際的な動向等を踏まえて2010年頃から検討を開始する。この検討は
使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用するという基本的方針を踏まえ、柔軟性にも配慮して進める
ものとし、その結果を踏まえて建設が進められるその処理のための施設の操業が六ヶ所再処理工場の操業終了に十分に間に合う
時期までに結論を得ることとする。(原子力政策大綱)
一方、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の確保に向けた取り組みにつきましては、経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会原子力部会放射性廃棄物小委員会において、その確保に向けた取り組みの強化等を取りまとめる予定とされており、関係者とともに理解促進活動などを強化することとされてございます。
なお、青森県においては、県知事の了承なくしては青森県を最終処分地にできないし、しないという旨の約束事が、国と青森県知事の間において文書で確認されており、このことについては現在においても変更はないと理解してございます。以上でございます。
〈 核燃料サイクル規制課 安全審査官 森 岳美 〉
続きまして、ウランに比べてはるかに毒性が強く、事故の危険性が高いプルトニウムを扱う施設ということにつきまして、私どもが、先ほども石井の方からご説明いたしましたが、どのような安全審査をしたかということについてご説明申し上げます。
本施設では、万が一事故が発生した場合においても、その一般公衆に過度の被ばくを及ぼさないこと、これを安全審査の中で確認しております。具体的に申し上げますと、本施設の最大想定事故であります焼結炉の爆発事故、これの解析結果でございますが、これから施設外に放出されるプルトニウムによる一般公衆の被ばく線量、こちらにつきまして、先ほどもお示ししましたが、この図に示しますように、原子力安全委員会が定めました「核燃料施設の立地評価上必要なプルトニウムに関するめやす線量」、これは表の右側にございますが、これを十分下回り、一般公衆に過度の放射線被ばくを及ぼさないということを確認してございます。(図−87)
図−87 事故時の被ばく線量について
(単位:mSv)
| 組織 |
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線量 |
等価線量 |
めやす線量※ |
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骨(表面) |
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約0.091 |
2,400 |
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肺 |
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約0.039 |
3,000 |
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肝 |
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約0.017 |
5,000
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○ 実効線量約0.0072mSv ※ 核燃料施設の立地評価上必要なプルトニウムに関するめやす線量
また、地震時につきましても、先ほどもご説明申し上げましたが、新耐震指針を基に十分な調査、評価によって基準地震動を策定
し、これに基づきまして耐震設計を行うとしてございまして、地震によって一般公衆に過度の被ばくを及ぼさないものと考えてございます。(図−88)以上でございます。
図−88 MOX燃料加工施設の耐震設計について
新耐震指針を基に、@より入念な調査、
Aより厳しい水準による評価、
Bより高度な手法による評価により策定された基準地震動Ssを用いた十分な耐震設計
ーーーーーーーーーー地震による一般公衆への過度の被ばくの防止
〈 核燃料サイクル規制課 統括安全審査官 小林 勝 〉
続きまして、事前にご提出いただいた質問書の中には入ってございませんでしたが、私の方からf−1、f−2断層についてご説明させていただきます。
この図に示しますように、MOX燃料加工施設が接する再処理事業所の敷地の中には、ボーリング調査等の地質調査の結果、2条の正断層があるということが確認されております。これらの断層につきましては、その性状を詳細に把握するために、トレンチ調査というものを行っております。その結果、このf−1、f−2断層ともに、それを覆う堆積層との関係から、少なくとも第四紀中期更新世、これは約80万年前でございますが、それ以降の活動はなかったことが確認されております。(図−89)
図−89 敷地内地質調査位置図
・ボーリング調査については、燃料加工建屋等の設置位置でのボーリングを含め288本実施(総延長約19,400m)。
・トレンチ調査については、敷地内の2条の断層について、各々1カ所ずつ実施。

私どもといたしましては、申請者の行ったこのような調査、評価につきまして厳正に審査した結果、新耐震指針を十分満足していると判断しております。以上でございます。
〈 原子力安全委員会委員長 鈴木 篤之 〉
よろしいですか。あと、井上様の方から電力会社等のトラブルの総点検の中で、制御棒引き抜け事象が起き、臨界事故が発電所においても起きていたのではないかと。そういうことからしても、そういう事業者と大いに関連のある日本原燃が行う事業については心配だという、こういうご指摘もありました。
これについては、固有の安全性とやや関連がないというような理解も可能ですが、原子力安全・保安院においては技術的能力の審査もされているわけですから、そういう意味では関連があるとも言えるかと思います。その辺について、何かお考えがあればお示しください。
〈 核燃料サイクル規制課長 石井 康彦 〉
先ほどご説明いたしましたように、原子力安全・保安院においては技術的能力の中で、日本原燃の品質保証活動や教育訓練についても審査をしてございます。ご指摘がありました中で、日本原燃に関しましても、これまで様々なトラブル等も発生してございます。こういったものについては、特に再処理の関係でございますが、原子力安全・保安院として、その都度報告を受け、その原因と対策等をきちっと考慮して、それを活かすような形をとっていると理解をしてございまして、MOXの事業を行う上でも、これまでの再処理施設においてのそういった対策等について、十分対応が図られると判断しているところでございます。以上でございます
〈 原子力安全委員会委員長 鈴木 篤之 〉
ありがとうございました。それでは、あと少しまだ時間が残ってございますが、井上様の方から何か追加的なご質問があれば、どうぞ。
〈 陳述人 井上 浩 〉
どうもありがとうございました。地震の問題ですが、やはり工場の真下に断層があるわけです。柏崎刈羽原子力発電所の場合には活断層等は全くないということであの大惨事が起きている。そうしたことを考えますと、新耐震指針は大変進んだと、私は、20年前から見ますと評価をしておりますが、今回の柏崎刈羽原子力発電所に起きた事象の分析で得られた知見を、次の新耐震指針からさらにもう一歩前へ進めていただくことが、地震国日本でこれまでどおり、もし原子力発電所によるエネルギーの生産を続けようとされるなら必要だと考えています。以上、要望とさせていただきます。
〈 原子力安全委員会委員長 鈴木 篤之 〉
ありがとうございました。最後にご指摘いただいた点につきましては、原子力安全委員会に大いに関連があると思っておりまして、原子力安全委員会における本件の二次審査の過程において十分に参酌させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
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